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  • 執筆者の写真Shun Fukuchi

少子高齢化の日本、将来は円安か円高か

個人投資家の間で見受けられるバイアスの一つに、少子高齢化の日本の未来は暗い=将来円の価値は低くなり円安になるというものがあります。そんな円安バイアスを持った方によく販売されるのが証券業界ではPRDCと呼ばれるパワーリバースデュアルカレンシー債です。


ものすごく簡単にどんな商品かというと取引時点から為替が

同水準、もしくは円安の間 → 高利回り 円高 → 低利回り

な商品だと思って下さい。円安バイアスのおかげで、円高にさえいかなければ高利回りなこの商品は個人投資家向け仕組み債のヒット商品の1つとして長く君臨しています。


では10年後、20年後、30年後、ドル円は円高方向、円安方向どちらである確率が高いのでしょうか。ドル円の先物(例えば10年後にドル円を現時点で合意したレートで交換することを約束する取引)が円高か円安かで将来のドル円の居処の期待値がわかるのですが、ドル円先物は円高方向にあります。先物が円高ということは市場が日本の成長を期待していると思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、為替先物価格というのは実は国の成長力期待といった主観は入り込まず、基本的には2国間の金利差で決まります(厳密にはベーシスと呼ばれる金利差以外の要因も含まれますが)。ここでは計算式等は書きませんが、金利が低い方の国の通貨が高くなる方向に先物価格はあると思っていただければ充分です。日本とアメリカでは日本の方が金利が低いためドル円先物は円高方向にあるのです。


ここで話しをPRDCに戻すと、PRDCが円高にならない場合利回りが高い理由は、円高確率が高いからこそ、そうならなかった時のリワードとして利回りが高くなっているというトレードオフの仕組になっているのです。


仕組債というのはよくこのような投資家が持っているバイアスに合わせた商品設計がされています。普通の債券が仕組債になった瞬間に利回り、本質的な価値が高くなるということは無く、利回りが高く見えているのなら代わりに何かのリスクを負っている、そしてそのリスクは低く感じるように設計されていたりするので、充分に理解してから購入するようにしてください。

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